昨今、「卵子凍結」という話題をよく聞くようになったと感じている方も多いのではないでしょうか。
メディアなどで取り上げられる機会も増え、関心・認知は高まっていますが、基本的なことについて疑問が出るばかり。
卵子凍結したのは良いけれど、実際にどれだけ使われているの?どうやってクリニックを選ぶの?金額に差があるけれど、それはなぜ?
そんな疑問について「グレイス杉山クリニックSHIBUYA」の岡田有香院長が答えます。今回は女性の体について知るオンラインセミナーで寄せられた6つの質問に答えます。
卵子凍結をすることを考えた時、何歳が一番適切なのでしょうか。
岡田:日本の生殖医学会では39歳までにと言われています。
「グレイス杉山クリニックSHIBUYA」では、39歳以上でも妊娠できる方もいますし、卵子の採卵個数は個人差があるので、個別のケースを見て相談させてもらっています。
またアメリカのガイドラインでは、35歳までの方が妊娠の確率が高くなるということで、35歳ほどが採卵に適していると言われています。
クリニックごとで卵子凍結の料金が違うのはなぜでしょう。クリニックを選ぶ基準とは。
岡田:基本的に採卵までに使う薬(注射)料金に差はないのですが、採卵代金、凍結費用で変わってきます。
また、卵子凍結は自費診療なので、クリニックごとで自由に料金設定できるのも差としてできてしまいます。当院は全体の価格を手頃におさえているので、いらっしゃった女性から、「薬を安くしているのですか」と聞かれるのですが、当院では薬を削ったりしていません。
卵子凍結の場合、初めて注射をするという人が多いので、ペンタイプの注射で針がとても細いものを使っていますが、実はそれが一番高価なものになります。培養液も一番データがあるものを使っていますので、安心してください。
また、クリニックの選択基準ですが、1度の採卵に3〜4回通う必要があるので、現実的に通える場所というのが大切なポイントです。
採卵日程が決まるのが採卵日の2〜3日前なので、通える場所であると便利です。またそれぞれのクリニックで卵子の誘発方法が違うので、それぞれの違いを知って理解することで、納得できる選択ができるのではないかと思います。
AMHの値を測りたいという場合、どこで検査すべきでしょうか。
岡田:AMH検査(※下記参照)をやっている場所は多くなっていますが、卵子凍結や不妊治療を行っているクリニックではその検査の結果をどう読み解いていけばいいのかということをしっかりお伝えできます。
妊娠を考える前のプレコンセプションケアとして、体の状態をチェックするためにAMH検査をされた方、結果がよく理解できずに検査結果の紙だけを持って当院に来られる場合も増えているのです。
もし結果が、実年齢は若くても卵巣が45歳相当だとしたら、とてもびっくりしてしまいますよね。こういう場合はしっかりご本人にわかってもらわないといけませんし、紙だけ結果で受け取って…という形は避けてもらいたいのです。
結果の解釈まで、検査を受けた方には理解していただきたい。
またクリニックによってはAMH検査でしっかり卵子の数があるとわかったのに、体外受精した方がいい、卵子凍結をした方がいいという先生もいると聞いています。私はそれは違うと思うので、しっかりと論文にあるデータで結果をお伝えするのが大切だと思っています。
※AMH検査:AMH(アンチミューラリアンホルモン)検査は、卵巣予備能を測るもので、卵巣の中に卵子がどれくらい残っているかを調べるための血液検査。卵子の数を調べることで、妊活や人生設計に役立てることができます。
最近クリニックに来る女性の方から寄せられる、悩みや質問はどんなことでしょう。
岡田:「年齢によって何個の卵子が取れますか」というものです。
これについては「AMH検査」をしてもらうと一度の採卵の数が大体わかるので、まずは検査してもらうと良いと思います。
また、凍結した卵子を最終的にどれだけの人が使うのかという「使用率」に関しても問い合わせがよくあります。
アメリカの2013年の論文では、社会的な卵子凍結がまだ浸透していなかったので13%だったのですが、直近のデータだと38%くらいまで上がっています。
昔に凍結して一人目の出産時には使わなかったけれど、二人目がほしいと思って不妊治療で凍結卵子を使ったという人もいます。
AMH検査を受けてから結果まで、どれくらいの時間がかかるのでしょうか。
岡田:採血から結果が出るまで40分かかるので、1時間みてもらえると結果まで伝えられると思います。スターバックスもクリニックの階下にありますので、ちょっとコーヒーを飲むほどの時間、と考えてもらえたらと思います。
生理の初日に気分が悪くなって、吐いたりしてしまいます。なぜでしょう。
岡田:月経困難症の中に吐き気という症状があります。ですので、その状況は月経困難症の症状の一つだと思うのですが、その裏に病気が隠れていないかをチェックするために、クリニックに来てもらえると安心です。
※月経困難症:月経期間中に月経にともなって起きる病的な状態で、下腹部痛、腰痛という月経痛と言われる症状に加え、おなかの張り、イライラ、吐き気、頭痛、疲労や脱力感、食欲不振なども含まれます。
◆ 本記事の内容に関しては、2022年7月21日に行った
『産婦人科医に聞く!女性のカラダセミナー ~未来の自分のために”今”知って考えよう ~』
の動画にてより詳しくご視聴いただけます。
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