妊活というと必ず出てくる「AMH検査」。
「グレイス杉山クリニックSHIBUYA」の岡田有香院長は、妊娠・出産の前に体を整える準備が必要だと話したうえで、その一環としてAMH検査で自分の体の状態を知ることが大切だと言います。
AMHが高い、低いってどういうことなの? AMHを知るとどんなことがわかるの?AMHの値から、卵子凍結でいくつ採卵できそうなの?
といった質問に岡田院長が丁寧に答えます。
Q:「妊活」とはどのようなことを指すのでしょうか?
岡田:妊活は、どの段階で妊娠を考えているかによって定義が違います。
「妊娠は10年先」と考えている場合は、卵巣と子宮の状態を確認しておくというのが妊活になります。日常の段階で、体のケアをしていくということですね。
また、1年後くらいに妊娠を考えているならば、卵巣・子宮の状況をエコーでみる、風疹の抗体があるかをチェックするなど、妊娠に向かって不都合がないかを見ることになります。
直近2〜3カ月で妊娠をトライしたいということであれば、葉酸、ビタミンBを取っていくというのが重要になってきます。
妊娠する前には、自分の体の準備が欠かせません。目安は妊娠を希望する1年〜半年前の段階でクリニックに来てもらって、妊活に入れるのかチェックしてみるというのがいいかと思います。
Q: ブライダルチェックしたところ、妊娠の可能性を測る検査がありました。これを知ることは意味がありますか?
とても大きな意味があると思います!
私の友人で、早発卵巣不全を患っている人もいて、そういう方は自分の卵子で子どもを産める確率は5〜10%になります。
実際に妊活をしようと思ったタイミングでそれがわかった場合、卵子提供の道を選ぶという人がいます。このことが事前にわかっていれば、「キャリアプランを変えたのに」とか、「将来の動き方を変えたかな」という人もいます。
つまり選択肢はもっとあったということなのです。
事前に自分の卵巣の年齢について知るには、「AMH検査」というものがあります。
AMHが低いと早発卵巣不全になるリスクが高いと言われています。つまり、早発卵巣不全という確定ではなく、前の段階で知ることができる検査です。はっきりとした診断になる前に知っておくことができれば、自分がリスク高いならキャリアプランを変える、婚活を頑張る、卵子があるうちに卵子凍結しておくという手段が取れます。
ですので、自分の体がどんな体質なのか、知っておいてもらえたらと思うのです。もしこういったリスクが表面化した段階で、選択肢がないというのは辛いことです。医師として、ここをどうにかしたいという思いが私の中ではありますね。
Q: 卵巣の年齢を測るという「AMH検査」、数値が高すぎるのもよくないの?
数値が高過ぎても、低過ぎても注意が必要です。
高すぎると、排卵しにくい要素が隠れている場合も考えられるのです。数値が高すぎると、将来的に糖尿病になりやすいということも言われているので、そうなると一生に関わる健康管理になってきます。
数値が低すぎる場合は、妊娠できる期間が短いかもしれず、その点を考慮してキャリアプランに生かしてもらいたいと思っています。その場合、卵子凍結が選択肢として考えられると思いますが、閉経が早くなる場合には骨粗鬆症という健康問題にも関わってきます。
ですので、数値に関してはクリニックで直接、医師に相談してみてください。
Q: 卵子凍結を考えています。AMHの値が1.8ですが、いくつ採卵したらいいでしょう?
個数に関しては妊娠率のデータがあるのですが、確率をどこまで高めたいのかは個人差があると思っています。
最終的に個人差があるので、何度採卵した方が良いかは個別に相談してもらえればと思います。生理の周期によって個数も少し変わりますが、AMHの値から相談者の方の場合は4〜5個取れるかなと思います。
もし採卵を20個目指すとなると、採卵は4回くらい必要になるので、そうなると、ここは体と金銭的な負担を考えていくということになるでしょう。
Q: 以前から低用量ピルを使っていますが、卵子凍結の場合、服用はできますか?
採卵周期に入る一ヵ月間は、ピルを休んでもらう必要があります。
卵子凍結のプロセスは、ピルの休薬期間のところからスタートします。採卵までの2週間は一旦ピルはお休みしていただきます。ピルの再開については、採卵が終わって次の生理が来たところから取り始めてください。
Q: グレイスバンク経由、また提携のクリニックで卵子凍結する場合、費用保管の安全性に違いはありますか?
グレイスバンクを経由して保管する場合に関して、保管料金が違うというのがあります。そして、一般的なクリニックと違うのはその方法です。
ステムセル研究所で24時間、自動的に液体窒素が注入されるシステムで、しっかりコンピュータ管理してるので、人為的に液体窒素を入れるというクリニックと比べると人為的なミスはありません。
また、将来的に凍結した卵子を使う点で、グレイスバンクはどこの提携クリニックでも使えるというのが一つのメリットです。提携のクリニックはどこも良いクリニックなのですが、引っ越した先に提携クリニックがあれば、そこで治療ができるようできます。
採卵した時は東京にいたけれど、5年後に使いたいと思った時は大阪にいました、という時にとても便利です。
東京のクリニックで保管してる時は、東京で使いましょうと言われることが多いと言われています。そうなると、将来どこにいるかわからない中で、なかなか不妊治療で使いずらい、通いづらいというところがあります。実際に使いたい時に、使いやすいクリニックを選べるのは大きなメリットだと思います。
Q: 他人の卵子による出産は可能でしょうか?
日本では代理出産に関する法整備が整っておらず、倫理的な観点から日本産科婦人科学会が認めていない現状があります。
希望する場合は、海外に行って施術を行います。
数百万円のお金がかかるものです。ですので、卵子提供を受けられる方の割合は高くありません。
お金をかけられる方に限定されますし、代表的なもので言うと、早発卵巣不全の方や、40代後半で自分の卵子での出産が難しいという方の選択肢になります。
◆ 本記事の内容に関しては、2022年3月30日に行った
『産婦人科医に聞く!女性のカラダセミナー ~未来の自分のために”今”知って考えよう ~』
の動画にてより詳しくご視聴いただけます。
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セミナーでは、チャットで質問も受け付けていますので、どなたでもぜひお気軽にご参加くださいね。