卵子凍結について

妊娠を諦める年齢は?年齢によって妊娠を諦める前にできること

赤ちゃんを産みたい、でも今すぐには無理…そんな悩みを抱えていませんか?

さまざまなライフスタイルが存在する現在では、結婚の時期や夫婦の働き方の問題で子どもを産む年齢が遅くなってしまうことも確かです。

ところが女性の体が子どもを産むことができる妊娠適齢期はある程度決まっているということをご存知でしょうか。

いざ赤ちゃんが欲しいという時になって不妊になり、なかなか赤ちゃんを授かれないというケースも少なくありません。年齢によって妊娠を諦めなければいけない場合もあります。

今回は何歳まで妊娠可能で何歳になったら妊娠を諦めなければいけないか、高齢出産のリスクについて、年齢によって妊娠を諦める前にできることについてご紹介していきます。

妊娠を諦める年齢は45歳が目安?


結婚するのが早くなかったり、仕事のキャリアを大切にしていたり、そうでなくても不妊が続いていたり…となかなか赤ちゃんを授かるチャンスがない時、あなたなら何歳で妊娠を諦めようという考えが頭に浮かんでくるでしょうか。

そもそも医学的に妊娠しにくくなる、妊娠を諦めるべき年齢はあるのでしょうか。

自然妊娠とは


月に一度、女性の体の中では卵子が卵巣を飛び出し(これを排卵といいます)子宮につながる卵管に入り、卵子は子宮の近くに向かいます。その時期に性交をして放出された約1億ほどの精子のうちほんの数百が子宮の上部にまで進むことができ、そこで卵子と出会います。そのうちのたったひとつが卵子に入り込んだ時、受精が完了します。その後、受精卵は子宮内膜に無事入りこむと着床が完了します。

ここまでの流れを自然妊娠と言いますが、妊娠を望んでいる夫婦が自然妊娠できる確率はどのくらいなのでしょうか。

年齢別に1ヶ月の間に自然妊娠する確率というのは以下の通りです。

  • 25歳:25%~30%
  • 30歳:25%~30%
  • 35歳:18%
  • 40歳:5%
  • 45歳:1%

(※M.Sara Rosenthal.The Fertility Sourcebook.Third Edition よりデータ引用)

自然妊娠する確率が若いうちからあまり高いものではないということに驚きます。

卵子が無事に排卵されるか、子宮の近くである卵管膨大部までたどり着けるか、性交の時期が適切か、精子の運動性などに問題がなく卵子にたどり着けるか、受精卵が子宮内膜に着床できるか…などの問題をくぐり抜けてはじめて妊娠することができるので、実は自然妊娠できるというのはとても貴重なことなのです。

将来の不妊予防の一つの方法として、卵子を凍結保管しておき、後に融解してから受精卵にし子宮に戻すという方法もあります。

良好な受精卵ができた場合の、採卵時の年齢による妊娠率を以下に示します。(日本産科婦人科学会データより)

  • 30歳以下 ・・・45%程度
  • 31~34歳・・・35%程度
  • 35~37歳・・・30%程度
  • 38~39歳・・・20%程度
  • 40歳以上 ・・・15%以下

妊娠確率は35歳あたりから大幅に減少し40代では自然妊娠は1~5%40代で採卵した凍結卵子を使った体外受精でも15%以下というデータがあります。その他にも年齢により妊娠するお母さんの体への負担や胎児へのリスクなども考慮して、45歳を過ぎてくると妊娠を諦めることも視野に入れる必要があると言えるでしょう。


高齢出産の年齢とリスク

現在、40代で初めて赤ちゃんを産んだお母さんは珍しくないように思いますが、高齢出産によるリスクも悩みの種です。

実はひと昔前までは、30歳以上の初産を高齢出産と呼んでいました。しかし医学が発達し、今では35歳以上の初産が高齢出産と呼ばれるようになっています。

2018年の平均初産年齢は約30歳と厚生労働省からも発表されているように、女性の社会進出などの理由で初産年齢が年々あがってきました。35歳以上での初産は決して珍しくありませんが、体の仕組みとして35歳をすぎると流産・ダウン症候群などのリスクが上がることは事実です。

これらは月経の度に卵子が成熟する過程の中で染色体をコピーする際にミスが起きてしまうことで起こります。前述の通り妊娠率も低くなることに加え、母子ともに無事に出産することができるまでにも困難が増えてくるのも高齢出産のつらいところです。


年齢による妊娠を諦める前にできること

上記のように年齢によるリスクを聞くと不安になってしまいますが、妊娠を諦める前に出来ることを考えてみましょう。

年齢が上がることによるリスクがあるのは事実ですが、不妊についての原因の多くは年齢そのものではなく、ホルモンバランスによることだと考えられています。ホルモンは正常に排卵を行なったり定期的に月経を起こしたりするのに欠かせないものです。

また、月に一度排出される卵子の数というのは生まれる前の胎児の時から約200万個とその上限が決まっていて増えることはありません。

たくさんあるように思えますが、上限の200万個から年齢と共に減少していき月経が始まる頃にはその数が約30〜50万個になります。1回の月経周期につき約1,000個ずつ減少していて35歳頃には約2万個になります。この辺りから急激に減少し、残りが1,000個ほどになった時閉経してしまいます。

男性が精子の元である細胞を体内で増やし新しい精子を作ることができるのと違って、女性は自身の年齢=卵子の年齢ということになります。

そこで、若いうちに卵子を凍結保存しておくという可能性も妊娠を諦める前に出来るひとつの選択肢と言えます。


保存期間は50歳までが目安

もともと卵子凍結は悪性腫瘍などを患い抗がん剤治療や放射線治療を行う女性が将来できる限り妊娠できるように治療前に卵子を残しておけるためのものとして行われてきました。卵子凍結は比較的安全に採卵し、マイナス196℃の液体窒素で半永久的に保管することが可能です。

このような凍結融解卵子から産まれた子どもに先天性疾患のリスクが増大することはないという見解が米国生殖医学会からされていることから 2021年に日本生殖医学会がガイドラインを正式決定しました。

卵子凍結保管のサービスを行なっているGrace Bankでは、基本的には採卵をする年齢を満40歳の誕生日までと推奨しています。もしそれ以上の年齢でもご希望の場合は専門医の判断により実施できることもあります。

そして凍結した卵子は本人の意向によっては満50歳の誕生日まで保管することができます。

ただし、実際に卵子を融解して使用する際には実際に赤ちゃんを産むお母さんの体の安全を考慮した上で専門医が実施の可否を判断することになるため、50歳まで確実に体外受精が行えると保証するものではないので注意が必要です。


まとめ

女性の体の機能といった面で、妊娠を諦めざるを得ない年齢はどうしても存在します。

それよりも前に年齢を理由に不妊治療に苦しむ方々が多いのが現状です。そのような方々がひとりでも減るよう、GraceBankでは卵子凍結保存という選択肢を提案しています。

まだ結婚していない、仕事が忙しいなどの理由で今すぐに妊娠希望や予定がなくても、いつか妊娠したいと思っている人は若いうちに若い卵子を保管しておくことができる卵子凍結を検討してみてはいかがでしょうか。

Grace Bankでは専門医による無料セミナーや、カウンセラーによる個別相談会(いずれもオンライン)を実施しています。専門医による解説で知識と理解を深めたうえで、カウンセラーへの個別相談で個人的な疑問や不安を解消できます。

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▼この記事の監修は…

医師紹介:岡田 有香(おかだ ゆか)
産婦人科学会専門医、日本産科婦人科内視鏡学会腹腔鏡技術認定医、グレイス杉山クリニックSHIBUYA院長

順天堂大学医学部卒/聖路加国際病院8年勤務 現在まで産科、婦人科全ての領域に携わる。不妊治療を行う中で、不妊予防に興味を持ち、自身のInstagram(@dr.yuka_okada)でも生理痛や不妊、妊活の知識を発信している。

  • 資格:da Vinci certified First Assistant (ダビンチ認定資格取得術者) 、日本母体救命システム普及協議会J-CIMELSプロバイダー
  • 所属学会:日本産婦人科学会、日本生殖医学会、日本女性医学会、日本産科婦人科内視鏡学会、NPO法人日本内膜症啓発会議

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