セミナーレポート

女性の「QOL」アップに必要なことは?(前編)/ LiLi 廣岡絵美さん、mederi 坂梨 亜里咲さん、グレイス杉山クリニックSHIBUYA岡田院長

キャリアの選択とプライベートの選択。

子どもを持つのか、そうでないのか。持つとしたら、いつのタイミングがいいのか。どんな道を選ぶにしても、迷いや不安があるのは、多くの女性がうなずくところではないでしょうか。

今回は、女性が心身ともに輝けるようなQOL(Quality of Life:生活の質)アップに向け、私たちが考えておくべきことに焦点を当て、人生について迷って考えて進んできた3人の女性からお話を2回に分けて伺います。

登場いただくのは、キャリア志向の女性をアップデートする教育サービス「LiLi」株式会社の代表取締役、廣岡絵美さん、オンラインピル診療サービス「mederi Pill(メデリピル)」の代表取締役、坂梨 亜里咲さん、そしてグレイス杉山クリニックSHIBUYAの岡田有香院長です。

前半は、各々の女性たちが歩んできた背景について、そして卵子凍結が持つ意味について紹介します。

廣岡:新卒で入った会社を入社2カ月で妊娠し、半年で退職。

2年専業主婦をやってキャリア復帰をしようとしたら一社も受からずで、これが人生のターニングポイントになりました。自分の市場価値が落ちるのがこんなに早いのかと思い、女子学生たちにキャリア支援をしてきました。

ターニングポイントは25歳と29歳です。29歳の時は離婚をして、シングルマザーになった時です。どちらの時も自分の市場価値が見えた時。

キャリアを積まずに社会に出たので、再就職しようとして面接で聞かれたのが、子どもが熱を出したら休むよねということ。

29歳の時は子どもが6歳だったのですが、残業できるのか、出張できるのかと聞かれました。それで、できませんと言ったんです。市場の価値が高ければ、それでも会社に来てほしい、いてほしいと言われたはずだと思いました。

そして、女性の価値を高めることが必要だと感じたのです。QOLをどう上げるのか、これは応援される生き方をするということだと思います。

どういうことかというと、何でも全力で頑張っていると応援していくれる人がいます。

そういった支えてくれている人に恩返ししたい、という風に考えるとメンタルも強くなるし、自分が何かできるのではと可能性を感じられるはずです。

こういうプラスのサイクルが女性に広まっていったらいいなと思います。

Liliは強く生きる女性を応援するという会社で、どう生きたいのかを考え、凛々しく前に進んでいける女性たちを育成することがテーマになっています。

女性は世界で自己肯定感が低いと言われていて、チャレンジしない人が多いのですが、LiLiは自分を信じることを教えていく場所でありたいのです。

女性たちが今、不安になる理由は、ライフイベントと働き方に正解が見えないということがあるからです。不確定要素が多いなかで正解がなく、ロールモデルがなくて迷子になっている人が多くいます

「結婚したら、退職したい」という人が私たちの生徒の中にも多いのですが、それならばどんなことを、いつまでにしておかなくてはいけないのか、逆算していないという人が多い

企業も女性活躍の場所を用意してないので、ステップを作れていない。女性がどこに行っても先がどん詰まりというのがあるのです。

そして、女性にとっては給与も課題です。年収で300〜400万円が多く、次が300万円未満。女性が500万になると30代で10%を切ってきます。

女性も男性と同じにように稼ぐ人も増えてくる。そういう人がキャリアを選択しながら生きていく中で、社会の仕組みが整っていないことが見えている。

その中で、ライフイベントが来てからは動こうとしても身動きが取りづらいので、早期のキャリアの構築が重要だといっています。

Liliで重要視しているのが、5年経つとハードスキルは役に立たないので、人の土台として重要なことをお伝えしています。

一緒に働きたいという人を目指し、スキルも作っていこうというものです。自分を見直して、キャリアをどう積んでいこうかと考える人には、是非門戸を叩いてほしいです。

坂梨:新卒でネットショッピングのEC運営会社に就職しました。そこに集客するメディアを作ろうと思って、「4MEEE」を立ち上げました。その後に執行役員、子会社社長を経験したのですが、30歳という年齢を機に何かしたいと思って、退任して今のMederiを創業しました。

こちらの事業は、26歳から始めた不妊治療が元になっています。

ビジョンは「女性が生きやすく、暮らしやすく働きやすい社会に向けて」、ということで、女性のライフステージに合わせた商品を展開していて、今はピルのオンライン販売をしています。

ピルの服用率は日本で3%。3〜5年後には服用率が10%以上になっている社会を作りたいと思っています。ピルというと「避妊のためでしょ」と思う人が多いかもしれませんが、それ以外の効果もたくさんあります。

ピルの効果は、月経痛の緩和、月経不順の改善、PMSの改善など様々です。海外で避妊目的より、他の効用を期待して飲んでいる人が多いと産婦人科医から聞きました。

心筋梗塞や心筋梗塞血栓症になることが通常より少し高くなることがわかっていますが、先ほどのように効用も多くあります。相談に乗りやすい環境を作っているので、ぜひ相談してみてください。

オンラインピルのメデリピルですが、診断処方ができます。ラインで簡潔にできるのは弊社だけだと思いますし、安心してスタートできるようにお試しプランもあります。

私のターニングポイント、起業のきっかけは不妊治療です。時間とお金をかけても自分のことがコントロールできなくて人生の挫折感を味わいました。

ここで人は諦めたりとかしがちだと思うのですが、唯一自分の中でいいポイントが、マイナスをプラスに変える力かなと思っています。

これだけ失敗した、大変な思いをしたから「ハッピーになろう」と思って、お金も時間もかかったけど、いい経験だったと前向きに考えました。

QOLを高めるためには時間を大切にしています。誰にでも平等に与えられているものは時間です。

これを有意義にすることが生活の質が高まることだと考えています。スピード感を持って行動し、好きな人、好きなことのために物事の取捨選択をしています。

医学部では、初期研修といって2年間で全ての課を担当しなくてはいけません。身を粉にしてに2年間で学ぼうと思って、あえて大変な病院に入りました。

そこから初期研修をし、産婦人科に就職したのです。専門医を取得したところから不妊治療にも携わりました。現在まで出産、手術、不妊治療をしています。

私は25歳の時から生理痛があって、子宮内膜症という病気になるかもという不安があったので、低用量ピルを飲み始めました。

これは医師だったから知っている知識で、産婦人科で不妊の原因になるということに、気がついていない人が多いのではないかと思ったのが28歳の時です。

私自身は30歳で焦って妊娠・出産しました。復帰した後、不妊治療に戻ると、驚いたことがありました。妊娠の適齢期が何歳なのかという基礎知識がない人が多かったということです。日本の教育でこの点を教えてこなかったのですね。

そのため妊活の開始の時期、不妊治療の開始時期が一般的に遅れているのだと思いました。

クリニックに来た人には説明できますが、32歳でオンライン診療に携わった時に、どれだけ産婦人科に来るのが普通の人にとってハードルの高いことなのかを実感しました。

産婦人科に来ている人だけでなく、多くの人に女性の体のことを知ってほしいと思いがあります。

私のQOLは仕事は丁寧に、プライベートは自分を甘やかすということです。仕事を丁寧にというのは、仕事人間だと自分を理解していて、仕事に手を抜くとことが許せない性分です。

多くの患者さんにたくさん笑顔になってもらえるように努力できたらと思っています。その分、プライベートで疲れる時はとことん自分の体に優しくあろうと思っています。

キャリアプランに必要な知識として、妊娠の適齢期は20代というのは知っているかもしれません35歳くらいから流産も増えてきて、35歳から妊活する場合は、不妊治療のスクリーニングをしてから自然妊娠を目指すのかどうか決めましょうという年齢です。

30代後半の方は、パートナーがいない場合は体を知ってもらい、妊娠を考えているという時に何ができるのかをお手伝いしたいと思っています。その一つが卵子凍結です。これは、若いうちに卵子凍結を取って凍結保存しておくことです

卵子は体の中で作りきられると、それ以上増えることはなく、胎児の時に持っていた卵子は減っていく一方です。生理周期の際に、数百個もの卵子がなくなっていきます。そしてどれくらいの卵子を持ち合わせているのか、在庫数は人によって変わってきます。

まずは、自分の卵子の在庫がどれだけあるのかを知ってもらいたいと思います。

20〜30代で卵子がなくなるという人も100人に1人はいます徐々にその割合も増えているとも言われているので、まずはそこが大丈夫かチェックしてもらえたらと思います。

数が減っている場合、パートナーがいない場合には卵子凍結という方法があります。凍結することで、半永久的に卵子の老化を止めて保管できるのです。そして卵子凍結は、若い時にやってもらうのが望ましく、妊娠・出産の成功にも関わってきます

こちらの表は、平均28歳の若い卵子の提供を受けて体外受精した場合と、年齢ごとの自分の卵子を使って体外受精した場合の成功率を示したものです。

卵子が若ければ、受精卵になる成功率を40代になってもキープできます。このオレンジ線を見ると、これは自分の卵子を使った場合で、35歳を超えた時からカーブがどんどん落ちてくるのがわかります。

そのため卵子凍結は30代前半で考えてもらう方がより高い成功率につながると思っています。

将来、子どもは望むけれど、今予定がないという人については、卵子凍結が一つの選択肢になります。日本は45万件の体外受精を行う不妊治療大国です。この不妊治療の途中までを行うのが卵子凍結です。

卵子だけを冷凍すると、解凍した時に傷つきやすいと言われてきました。

卵子の凍結ダメージがあると言われていたのですが、技術の進化があり、融解しても99%以上生存していると現在では言われています

グレイス杉山クリニックShibuyaでは、「プレコンセプションケア」に力を入れています。つまり、今でなくてもいつか妊娠を考えるかもしれない人たちにとって、今から妊娠に備えた体づくりをしていくというクリニックになります。

少しでも女性の体を知ってもらえたらと思っていますし、最終的に卵子凍結という選択をする方には最大限のサポートをしようと思います。 

──後半に続く──

◆ 本記事の内容に関しては、2022年1月20日に行った『女性のQOLを高めるには?(LiLi x mederi x Grace Bank 特別企画)』
の動画にてより詳しくご視聴いただけます。

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