グレイスバンクについてセミナーレポート

【超基礎編】産婦人科医に聞く!私たちが知るべき体の仕組みとは?

女性の体には、思春期から閉経を迎える間に様々な変化が起こります。

そもそもどうして月経があるのか、どんなことが体に起きているのでしょうか?そして、卵子についても年齢を取ること、それによって妊娠する確率が変わってくることなど、誰にでも起きている大切な変化を、私たちは意外と知らないのではないでしょうか。

「女性の体に起きる変化を若いうちから知ってほしい」と話すのは、はなおかIVFクリニック品川の花岡正智院長です。

今回は、女性の体について絶対に知っておいておいてほしい7つのポイントについて、花岡先生がゼロから丁寧に解説します。

なぜ花岡先生は、卵子についての啓発活動をしているのでしょうか?

花岡:卵子について考えると、この細胞は生まれてから新しくできたりしないのです。だから、仕組みを若いうちから知ってもらって将来に向けて準備してほしいというのがあります。

日本では不妊治療の経験ある人が28%くらいいます。そして、体外受精で生まれている子どもの数は16人に1人くらいになっています。クラスに2〜3人いる計算で、もう体外受精で出産というのは珍しく無いのです。

そして日本は世界で一番、体外受精の件数が多い国です。45万件というのはその多さがわからないので、アメリカと比較しましょう。アメリカは体外受精の件数が世界第2位で、28万件です。日本が数を引き離しているのがわかるでしょう。

しかもアメリカの人口は日本より多いので、人口当たりの件数は日本がアメリカの5〜6倍というふうになってきます。なぜこれだけ多くの不妊治療が行われているかというと、不妊治療の開始の年齢の違いが影響しています。年齢が高くなると成功率が低くなっていくのです。

 月経について私たちが知っておくべきことはありますか?

花岡:まず月経のサイクルが一周回るとどういうことが起きているのかを知ってもらいたいです。図を見ると一番上が、「脳下垂体」で、脳の中枢の神経のところで、「FSH」とか「LH」というホルモンの値が動きます。

これが動くと排卵するのです。その下は、エストロゲンとプロゲステロンで、卵巣から出ている女性ホルモンになります。これがFSHやLHの動きによって、動くのです。その下の部分は、排卵して体温が上がってきて、子どもを受け入れる準備のために子宮内膜が厚くなるという変化が起きてきます。

体の中でいろいろなことが起きているので、ぜひ変化について知っておいてほしいです。

妊活前だったとしても、妊活のメカニズムについて知っておくべきことはありますか?

花岡:どのように子どもが生まれるのかということは知っておくといいでしょう。

まず、膣の方から精子が入ってきて、子宮を通って卵管に行きます。卵子は、卵巣から出発して、これを排卵と言いますが、卵子が卵管内に取り込まれて、卵管の中で精子と受精します。受精した受精卵は分割しながら子宮に移動します。

排卵してから1週間ほどで、「胚盤胞」という段階になり、子宮に着床します。卵管は図で見るとちょうど手を伸ばしているような部分です。この手のような物が卵子をキャッチしてくれるわけです。

卵管の中で卵子と精子が出会って、そこでどんどん分割して細胞が大きくなるのですね。

卵子の量についてもう少し詳しく教えてください。

花岡:卵子がどれくらいあるのか。お腹の中に胎児としている時に数が揃っていて500万個あると言われています。

胎児の時が一番多い訳なんですね。胎児の時に全部数が揃っていて、生まれた後は卵子は減っていくだけなのです。新たに作られないのです。これを聞いて、寂しいと思ったりするかもしれませんね。

例えば脳の中枢神経の細胞、心筋の細胞も同様に、新しく作られません。卵子もそういうグループの細胞だと受け止めてもらえたらと思います。

この図は、具体的な数値を示したものです。500万個あった卵子は、生まれた時には100万個にまで減っています。月経が開始されている時には10万個までになっていて、どんどん時間の経過とともに減っていくのです。

その中で受精する可能性がある卵子は400個ではないかと言われています。例えば10代後半になって月経が始まり、閉経が近くなるまでの年数、毎月排卵するとして12回、年数に12を掛けると大体400回になります。意外と妊娠につながるのは低い確率なのです。

時間とともに卵子は減っていきます。では、どれくらいの卵子が残っているのかをどのように評価したらいいのでしょうか。

そこで「AMH」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。発育過程にある卵胞から分泌されるアンチミューラリアンホルモン(AMH)で、卵子の数がどれだけあるかを示してくれる採血データです。

卵子の量の評価項目と考えてください。同じ年齢の人に比べて、多めか少なめか、それとも年齢相応かがわかるようになるのです。このAMHの値は個人差が大きいこともわかっています。

卵子の妊娠能力は、妊娠や不妊にどのくらい影響するのでしょうか?

花岡:卵子の若さというのが、妊娠に大きく影響します。私たちと一緒に卵子は年をとっていくので、それに伴って出産率は低下していきます。

第三者からの提供卵子と、自分の卵子を使った場合の成功率を見ると、自分の卵子を使った場合、年齢が上がるのと共に確率下がって行きます。ところが、提供卵子を使った場合は、母体の年齢によって妊娠率に違いがあまりないのです。

卵子が年齢によって差が出ている、年齢に影響を受けているというのが如実にわかる数字なんですね。

次の表は、これも卵子凍結のグラフなのですが、出産に至るまでどれくらい凍結卵子があったら良いのかという目安を示しています。年齢が進むと確率が落ちるために、たくさんの凍結卵子が必要であるということを表しています。

年齢による妊娠応力の低下に個人差はあるのでしょうか。

花岡:結構あります。見た目の若さというのは卵子の年齢に全く関係はなく、個人差が大きいのです。

加齢しても卵子が残っているかどうか、その要因で一番大きいのが体質、遺伝的な側面です。それだけでなくて、生活習慣による要因も関係します。バランスの良い食事や栄養も結構大事だと言われています。

また意外かもしれないが、過去の妊娠歴というのも関係します。過去に妊娠歴がある人は再び妊娠するハードルが低いと言えるのです。急激に卵巣の機能が低下する人もいて、40歳未満で閉経する「早発閉経」になる場合もあります。

その逆で、年齢を経ても卵子を多く持っている人もいます。卵子の質には年齢が関係するというのは間違いありません。

自分の妊娠能力について知ることはできますか?

花岡:卵子の量を知ることはできます。多め、少なめに持っているというのは先ほどもお話したAMH検査、採血でわかります。

これは自分を知る一つの検査です。その検査は自宅でできる物もあるし、クリニックで5000円〜1万円程度で受けることができます。

年齢によってどれくらいがAMHの平均かというおおよその数値は知っておいていいかなと思います。ただこの検査は卵子の量しか教えてくれません。

一つ知っておいてほしいのは、卵子の量を知るということと、妊娠できる力そのものを知るということは違うということ。今、妊娠力を測る検査は無いと言われています。

また、AMHの数値が低いからと言って、妊娠できないということではありません。低くても期待できるのですが、若い方の卵子が有利ということは言えます。


◆ 本記事の内容に関しては、2021年4月8日に行った
「宇賀なつみが医師と語る「意外と知らない卵子の話」 の動画にてより詳しくご視聴いただけます。

▼セミナー動画の視聴はこちらから

関連記事

卵子凍結や妊活に関する耳寄り情報は、
各種SNSでお受け取りいただけます。