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【超基礎編②】産婦人科医に聞く!不妊治療、卵子凍結って何?

「不妊治療大国」と言われる日本、日本は世界で最も多く体外受精が行われている国であることを知っているでしょうか。

でもその前に、不妊治療ってどういうこと?不妊治療のコストは?卵子凍結はここにどう関わってくるの?といった情報はさらに知られていないでしょう。

今回は、はなおかIVFクリニック品川の花岡正智院長が、不妊治療と卵子凍結を初心者にわかるようにしっかりと解説します。今回は、前回の超基礎編の講義(超基礎編①)の後編になります。

そもそも不妊治療とはどんなことをするのでしょうか?

花岡:三つのステップがあります。一つは「タイミング法」と呼ばれるもので、排卵日のタイミングを狙って性交渉を持つものです。そして「人工授精」は排卵日のタイミングに精子を生成して子宮内に入れることです。

最後の「体外受精」は二つと違って、卵子と精子を取り出して、体外で受精させるということになります。標準的な体外受精法と違って、「顕微授精」というものもありますが、どちらも排卵誘発して卵子育てる工程が入ります。

人工授精に関して勉強したいのですが、人工授精は排卵日に生成した精子を子宮に入れる方法です。子宮の奥まで、そして卵管の近くまで多くの精子を入れられるので、効率の面で有利で、自然の方法よりも2倍近く有利ではないかと言われています。

採卵という操作ですが、子宮から針を刺して卵子を取ります。卵子の入っている卵胞があり、そこに針を入れる訳です。この方法によって、女性がよりストレスなく手術できるようになってきています。

採卵後は、卵子が成熟卵か、体外受精に移せるかを確認します。採れた卵子と精子を入れて、一つの卵子に対して多くの精子が出会えるようにするのです。

そして「顕微授精」は精子を直接、卵子に送り込む方法です。なぜこれが必要かというと、精子の数が極端に少なかったり、精子の運動率が低い場合、卵子の中に自力で入って行けない場合があります。そのため、人の手を加えて受精をさせるのです。

次に、受精卵ができたら、子宮の中に戻します。この場合、一度凍結して、よき時に解凍して戻す方法が99%で主流になっています。

というのも、受精卵ができても子宮が迎えられる準備ができているかは別の問題なので、子宮が受精卵を受け入れられるように整ってから戻すのがベストだからです。

それでは、どういう場合に体外受精をするのでしょうか。

それは、今までのやり方を一定以上やっても結果が出なかった場合です。卵管が閉塞していると卵子と精子の出会う場所がなかったり、精子の数が少ない場合や、運動率が低い場合も体外受精に移った方が良いでしょうね。

今までの方法では卵管にそもそも、卵子や精子が行っているのかわかりません。体の中で起きている変化なので、見ることができないからです。

ですから、体外受精しないと受精ができているのかわからないのです。逆に言えば、体外受精をするとそのブラックボックスがわかってくきます。

この図は、妊娠に至らない理由をまとめたものです。検査でわかることの一部は、体外受精するとわかることでもあるのです。

未成熟卵、変性卵というのは、卵を取り出すのでわかります。これに受精能力があるのかも観察することができるのです。体外に受精というプロセスを取り出すことで、原因の一部がわかるというのも体外受精の大切な役目です。

この赤丸の数値も重要なのですが、2年以上子どもが生まれなかったカップルが、今週期で妊娠する確率はWHOのデータで2%だと言われています。

これだけ低い数値になっているので、この場合は新しい方法に移った方がいいと言えるでしょう。

不妊治療はどれくらいの期間と費用がかかるのでしょうか?

花岡:料金の目安は40万〜90万円かかることがあります。

違いは主に誘発をどのようにするかということです。たくさん薬や注射を使うと金額はかさみます。また多くの卵が取れると、コストもかかってきます。というのも、凍結して預かる個数、期間によってコストが変化するからです。

次にどのように採卵するのかという具体的な方法ですが、まず生理中に一度クリニックに来てもらって、まず超音波と採血をして、採卵時期を決めます。その後に3〜5回くらい、卵子が熟しているのかを見る診察が必要です。

確認しながら前に進みます。そして「切り替え」という投薬が必要なのですが、卵が育っても採卵したら未熟卵だったりします。

これを一気に成熟卵にすることが必要です。成熟卵にするのに36時間ほど必要で、切り替えてから卵を取りに行く、このようなプロセスを経ています。

不妊治療の際に、クリニックをどのように選択すべきですか?

花岡:どこに通うかはとても大切です。自由診療なので、クリニックそれぞれのやり方があります。

刺激の方法、排卵誘発の方法もいろいろあります。体への刺激を減らして、少ない卵子を大切に育てる方法と、刺激してたくさんの卵子を取り出すという方法があります。私たちは卵をたくさん取るということをやっています。

どういう方法がいいのか話を聞いてくれ、一緒に治療に取り組んでいける先生が理想ですね。

私たちが今日から始められることはありますか?

花岡:卵子も一緒に年齢を経ていくので、年齢とともにに卵子の量が変わりますし、妊娠のできる力も低下します。

そのことを知っておいてほしいのです。知っていると将来への選択肢が出てきます。選ぶために、そして決断するために、知ってほしいということです。

具体的に知ってほしいことには、卵巣の年齢を測ることができる「AMH検査」があります。AMH(アンチミューラリアンホルモン)の検査は血液検査で、卵巣の中に卵子がどれくらい残っているかを調べることができます。

皆さんの卵子が、同年齢の人たちと比べて多めか、少なめかというのは知っていてもらって良いかと思います。約5千〜1万円でできる検査です。これからはご自身でAMHチェックができる時代になると思います。

そしてもう一つ、クリニックに足を運ぼうと伝えたいですね。

「不妊クリニック」というのは、一定の期間子ども作りを頑張っても思った成果が出ない人が行くと考えている人もいるのではないでしょうか。本当はでも違うのです、将来子どもを持つことを考えるためのクリニックなので、思いたったら吉日で気軽に来てもらいたいですね。

最近よく取り上げられている卵子凍結が気になっています、教えてください。

花岡:卵子凍結は「卵子のタイムマシン」のことです。タイムマシンに乗って、卵子をふさわしい未来に運ぶことなのです。

例えば若いうちに採卵しておいて、凍結しておく。凍らせる時には液体窒素を使うのですが、これによって将来の必要な時に、卵子を送りましょうというコンセプトです。

元々は医学的な理由から卵子凍結が行われました。卵巣の手術、抗がん剤を使ったりすると卵巣の機能が著しく弱ってしまうのです。

そのためにあらかじめ卵子を取っておきましょうというものでした。現在では、私たちにとっては選択肢と言われるものになってきています。

医療の技術が進んで、安全に凍結できるようになってきたことが背景です。選択肢と呼ばれるほど進んできたのは、新しい時代の幕開けではないかと感じています。そして同時に、卵子凍結=万々歳というのではなく、現状を把握して知るからこそ選択肢になってくるのです。

卵子凍結は、将来の妊娠を約束してくれるものではなく、思ったより成功率が高くなかったり、または結局自然妊娠をして必要でなくなる、ということもあります。

年齢が進むと移植の時の年齢に応じて、妊娠中毒症、妊娠糖尿病という妊娠時の合併症が増えてしまいます。ここも目を背けてはいけない事実です。

そして最後ですが、信頼できるクリニックの先生に相談することも大切です。卵子凍結するクリニックでは、他のクリニックで採卵した卵子を使えないということもあります。

卵子は凍結だけでなく、その後の受精、移植まで考えて、使えるクリニックを考えられたら良いかと思います。


◆ 本記事の内容に関しては、2021年4月8日に行った
「宇賀なつみが医師と語る「意外と知らない卵子の話」 の動画にてより詳しくご視聴いただけます。

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